大西洋の海流循環「AMOC」の崩壊リスク
大西洋の海流循環「AMOC」が崩壊するリスクがあることを示す研究が相次いでいるとのことです。
"大西洋の海流循環「AMOC」に崩壊リスク: 海面上昇と温暖化加速の恐れ" 宮島 謙二 2026/04/21
(https://www.alterna.co.jp/170856/)
AMOC (Atlantic Meridional Overturning Circulation: 大西洋子午面循環) は、大西洋南北熱塩循環とも言われ、大西洋を南北に貫く巨大な海流循環システムです。メキシコ湾周辺の暖かい海水を高緯度へ運び、冷えて密度が増した水が、グリーンランド沖で北大西洋の深海に沈み込みます。ここで形成された深層水が大西洋深部を南下し、「コンベヤーベルト」として地球全体に熱を再配分しています。
図:地球中に熱を運ぶ海洋大循環の簡略図
赤は表層の海流で、青は海の深い領域の海水(深層水)の流れを表す。背景色は海面密度を表し、青が濃いほど密度が高く(海水が重く)、沈みやすい
(https://www.alterna.co.jp/170856/ より引用)
AMOC の弱体化は、温暖化により北極圏の氷床や氷河が解けて、大量の淡水が北大西洋に流入することにより、表層の塩分濃度が下がって、海水が沈みにくくなることで起こるとされています。
記事では、日本も異常気象や食料輸入が激減するリスクに見舞われかねない、と警鐘を鳴らしています。
しかしながら、私たちにはどうすることもできないというのが現実ではないでしょうか。
『あなたは気候変動に責任を感じますか?』(2026/05/02付本ブログ)でも書きましたが、日本は2013年以降、温室効果ガスの排出量を減らしています。しかし、世界全体では増え続けています。
AMOCの崩壊といいますと、映画『デイ・アフター・トゥモロー』(2004年)を思い出します。ニューヨークが一瞬で凍結していましたが、これは映画のなかの話です。
しかしながら、実際に暖流であるメキシコ湾流が停止した場合、アメリカ東部やヨーロッパが寒冷化することは十分に考えられます。
今回のニュースの元となる研究は、Valentin Portmann et al., Observational constraints project a ~50% AMOC weakening by the end of this century, Science Advances, 2026, 12(16), DOI: 10.1126/sciadv.adx4298 です。
Science Advances は Impact factor と呼ばれる自然・社会科学の学術雑誌が持つ影響力を示す指標が 12.5 (2024年) です。一般的に10を超えると、非常に影響力が高い(一流誌)といわれています。
それなりに格が高い学術雑誌に掲載された「AMOC崩壊リスク」について、アメリカの人たちが自分ごととして、対策を打ち出すことを願うばかりです。