放射性廃棄物

放射性廃棄物について

原子力発電所が稼働し続ければ必ず核のゴミである放射性廃棄物が増えていきます。しかし、人類は放射性廃棄物(特に高レベル放射性廃棄物)の安全な処分方法を見出すことはできていません。そのようなことから、原子力発電所は当初から「トイレのないマンション」などと揶揄されてきました。

高レベル放射性廃棄物とは、原⼦⼒発電所の使⽤済み核燃料を再処理する際に残った廃液を、ガラスと融かし合わせて固めたもの(ガラス固化体)になります。このガラス固化体の表面は20秒で人が死んでしまうほどの猛毒です。そして、この放射線量は自然界に存在するレベルに減少するまでに10万年もかかるといわれています。

こうした高レベル放射性廃棄物の処分方法について決定打がない中、世界各国では大地深くに埋めてしまう方法(地層処分)が主流の考え方になっています。フィンランドでは各国に先立って最終処分場の建設が進められています。そして、日本でも2020年10月に北海道の寿都(すっつ)町と神恵内(かもえない)村が文献調査へ応募する動きがありました。

ただし、地層処分に関して日本とフィンランドを同等に扱うことはできません。地層処分の適地を選定する際に必要なことのひとつは地層の安定性です。フィンランドは地震や火山がほとんどない安定陸塊とよばれる安定した地域にあります。一方日本は、地震や火山が多く地殻活動が活発な新期造山帯とよばれる地域にあります。大地の質が全く異なります。さらに、日本は雨が多く地下水が豊富にあるといったことも十分に考慮する必要があります。