固有地震説、見直しは必須か
固有地震説とは、同じ断層(震源域)では、ほぼ同じ規模の地震が、ほぼ同じ間隔で繰り返し発生するといったもので、南海トラフ地震が何年間隔で起きる、などという言説の根拠となっているものです。
しかし、昨年7月末のカムチャツカ半島の巨大地震(マグニチュード8.8)発生によって、こうした従来の地震サイクルモデルの限界が浮き彫りになりました。
(「なぜM9級カムチャツカ巨大地震は73年で繰り返し発生したのか」2025年12月 9日、東北大学プレスリリース
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2025/12/press20251209-02-Kamchatka.html)
(Y. Yagi et al., 2025, Breaking the Cycle: Short Recurrence and Overshoot of an M9-class Kamchatka Earthquake, Seismica)
2025年の地震は1952年に起きたM9.0級巨大地震とほぼ同じ場所で発生しました。数百年に一度だったはずの巨大地震がわずか73年間隔で発生したのです。これは、これまでの地震学では説明がつかないほどの異例の短さです。
このプレスリリースでは、「現実の巨大地震は、古典的な地震サイクルモデルでは説明が難しい複雑な挙動を示すということであり、南海トラフを含む世界の沈み込み帯で実施されている長期地震予測モデルに重大な示唆を与えるもの」と締めくくっています。
この研究成果は今年に入ってもマスコミが取り上げています。
"定説崩壊 マグニチュード9クラスの巨大地震 73年で到来 「数百年に一度」の定説くつがえす事実 最新研究が捉える予兆 東日本大震災15年「つなぐ、つながる」" 東北放送 2026年3月3日(火) 12:12
(https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/2502761)
私の持論は、地震の発生確率を基にした地震防災は改めるべき、との考えです。(本ブログ2024年12月28日付『日本の地震防災を問う(3) 地震ハザードマップは廃止が妥当?』、2025年09月28日付『南海トラフの見直しは研究者の都合か?』等参照)
Y. Yagi et al. (2025) の研究成果により、日本の地震防災が現在の地震学の実力に見合ったものへと改められることを願っています。