『私が見た未来』完全版を見て

 2021年8月9日付のブログ「富士山噴火予言は煽り(あおり)記事か?」で、8月20日「富士山噴火説」を取り上げました。この予言の元ネタは漫画『私が見た未来』(たつき諒著, 朝日ソノラマ1999年刊・絶版)でした。
 昨年秋にこの本が完全版として復刊しました。これを読むと、煽り記事で当たったとされる予言以外に、ハズしている予言がいくつか紹介されていました。著者自身はどうも富士山噴火はハズした予知夢と考えているようです。したがって、昨年の8月20日富士山噴火説は、読者が勝手に想像を膨らましたものと考えるのが妥当でしょう。

 さて、この完全版を読んだ限りでは、予知夢がどの程度当たっているのかを評価できるだけの情報はありませんでした。一次資料といえる予知夢を書き込んだノートを見ないことには何ともいえません。
 また、この本にはこれから先の予言も書かれていました。それは、太平洋上で大地震か大噴火かが起こるといった予言です。詳しいことをここで書いてしまうと問題があるので、興味のある方は是非とも『私が見た未来』完全版をご覧ください。以下に、その予言を読んで私が感じたことを記します。

 1月15日にトンガ沖で海底火山の噴火がありました。その際にこの予言を思い浮かべました。ただし、時間も場所も規模も予言とは大きく異なるものでした。
 海底火山の噴火については、現在の科学でも「ここに海底火山がある」といった事実を示し、それが仮に大噴火を起こした場合の被害想定などは、ある程度できるでしょう。しかし、ハワイのようなホットスポットとよばれるものが、いつ・どこで新たにできるかまではわからないかもしれません。マントル全体(約2900km)の変動を扱うプルームテクトニクスについて、私自身もっと勉強すべきと感じています。

 予言は非科学的なものです。地震や火山噴火を予言することは、場合によったらニセ科学になります。また、それでお金儲けをしていたなら詐欺(サギ)科学になってしまいます。しかし、非科学的といわれる予言などのなかには、ごく稀にですが、科学的な検証をする価値があるものが含まれていると考えています。

2022年02月22日